1回目は、1967年に上映され、2回目は昨年上映されました。双方を見て、白黒とカラーとか基本的な違いはありましたが、新しい方も、なかなか素晴らしい出来上がりだと感じました。
 1967年は、東宝で岡本喜八監督のもと撮影され、鈴木貫太郎総理を笠智衆さんが演じ、阿南陸相を三船敏郎さんが、畑中少佐を黒沢年男さんが演じておりました。時代が時代なだけに、昭和天皇は八代目松本幸四郎さんが演じておられましたが、あまり撮影してはいけないというご時世もあって、最低限の姿と言葉しか入っておりませんでした。その分、決起した陸軍兵士が玉音版を探すシーンはなかなかスリルがありました。また、NHKの放送員に加山雄三さんを投入するなど、すごいキャストで撮影されていました。

 

 それに比べて、2015年板は、松竹で原田眞人監督で撮影されました。鈴木貫太郎総理を山崎努さんが演じ、阿南陸相を役所広司さんが、畑中少佐を松坂東李さんが演じておりました。また、この作品で着目すべきは、昭和天皇役の本木雅弘さんでした。平成の世も27年。昭和天皇の撮影についても、ここまで露出した映画はほかにないでしょう。また、本木さんなりの昭和天皇を演じられているのも魅力で、終戦の詔書の朗読も、本木さん自らが行っていました。もちろん流れは基本的に事実に基づいているので、多少の演出はあれ、48年を経たリメイクも、基本的には変わらない部分がほとんどでした。
 

 何よりも、「昭和天皇」を演じてくださいとオファーがきた本木雅弘さんの心中やと思ってしまいました。結果的に素晴らしい「昭和天皇」を演じておられましたが、まぁ、いろんな役のオファーがあるんでしょうが、よりにもよって、「天皇陛下」の役なんて・・・・。私ならお断りするかゲロしまくるほど緊張してしまいそうなほど畏れ多い役です。
 この映画は、3回目、4回目とリメイクされるべき映画だと思います。「戦争は、起こすよりもはるかに終わらせることがはるかに難しい」・・・両作品ともこれが感じ取れました。

 

 戦争の大変さ、無残さを伝える意味で、原爆や空襲を題材にした演出満載の映画もよいですが、この1日間の事実の羅列ほど現実的で底知れぬ恐ろしさ、難しさ、そして玉音版放送は、いくつもの奇跡の上にできたものだし、一歩間違えていれば・・・。ホントの意味で怖い映画です。皆さんもご覧になっては?